読解の技術

同格・主格・目的格のof

前置詞ofには様々な意味があり, 英文解釈・精読を行う上で必須の知識となります。今回はこのofの中でも「同格・主格・目的格」の用法を確認していきましょう。

まずは同格についてです。of以外の同格の形も紹介しながら、「同格」とはそもそも何なのか、どのように使われどのように訳すのが良いのか、紹介していきます。

また、主格・目的格のofの訳し方をしっておくと、英語の堅い文をうまく訳すことができるようになります。自然な日本語訳を作る上で大事な技術ですので、ぜひ押さえてほしく思います。

同格

同格の定義

文法で、一つの文の中において、語あるいは文節が他の語あるいは文節と、文の構成上の機能が同一の関係にあること。

(デジタル大辞泉)

とあるが、簡単に言うと

名詞 (抽象的) に対して, 後ろから名詞 (具体的) で説明する、と考えれば良いです。それぞれ節(SV)を取るものもあれば、後ろに名詞句(SVではない語のかたまり)を取るものもあります。以下で例文を見ながら、一緒に確認していきましょう。

こちらの文では同格の形が2つ出てきています。どこにあるか見てみましょう。

1. Mr. White, our English teacher, will leave for his mother country England next Saturday.

(私たちの英語の先生のホワイト氏は、来週の土曜日に母国のイングランドに向けて発ちます)

まずはMr.White, our English teacherの部分が同格となっています。読み手 (聞き手) にとってはMr.Whiteが何者かはわかりません。よって、それを説明するものとして後ろからour English teacherと説明がされています。

このように固有名詞が用いられる場合に、同格の形が用いられることが多くあります。よって、文中にわからない語が出て、その語の頭が大文字であれば、おそらくその直後に説明が書かれているはずなので、焦らず後ろをしっかりと読みましょう。

例) Pfizer, an Americanl pharmaceutical corporation, 

アメリカの製薬会社であるファイザーは, … 

続けて, 同格のthatが用いられる場合もあります。こちらも例文をまずはご覧ください。

2. Is there any hope that your plan will be adopted?

 君の計画が採用される (という) 見込みはあるのか。

hopeについて、どのようなhopeなのかを後ろで説明している。ここで気をつけなければいけないのは、どのような名詞にも同格のthatを取れるわけではない、ということである。

名詞を動詞に直して, それがthat節を取るもの 

と基本的には考えると良い。

例)

realization that → realize that

thought that → think that

statement that → state that

そもそも動詞+that節は 思考/発言 と覚えておきたい。

news/factなどもよく使われるが, こちらはむしろ例外として, 上のルールを覚えておくと, 全ての名詞に同格のthatが使えるわけではない。

例)

We want to prevent a situation in which people spread the virus because they are ignorant about it.

「人々が無知であるがゆえ、そのウィルスを広げてしまうという状況を我々は回避したい」

3. She had the idea of starting early. 

 彼女は早くに出発しようと考えた。

ideaはthatもofも同格の形を取ることが出来る。idea (考え) がどのような考えかを後ろから説明している形である。

訳し方

A that SV… : SVというA, 

A of B: BというA

という訳が一般的である。ただ、わざわざ「~という」の訳がなくとも成立する場合も多い。とはいえ、この訳し方を覚えておくと、毎回ofの訳に困ることはなくなるので、必ず覚えておきたい。

                

ofの主格関係・目的格関係

A of Bを見ると, ふつう「BのA」と訳したくなるところだが, 日本語でも名詞のカタマリが並び, 必ずしもBのAで自然な訳が出てくるとは限らない。その際, 自然な日本語に出来る訳し方があるので紹介していきたい。

まずは見分け方から。

1. A of BのAの部分は動詞が名詞になったものである。

2. Aの部分を動詞に直したときに、自動詞なのか他動詞なのかを判断する。

3. Aの部分を動詞にしたとき, 自動詞なら「BがAすること」と訳せ, 他動詞なら主に「BをAすること」と訳すことが出来る。(ただし例外有り)

ルールで見てもイマイチピンと来ないと思うので、具体例を見ていこう。

○the Romans’ destruction of the city

  ローマ人が街を破壊すること

ルールに当てはめて見ていくと, 

1. A of BのAの部分は動詞が名詞になったものである。destruction ← destroy

2. destroyは他動詞

3. 日本語訳は「街を破壊すること」となる

上の名詞のカタマリを文章に直すと、以下のようになる。

The Romans destroyed the city.

応用

よって, Aの手前につく ‘s は主語になる, と考えられる。

○the arrival of the group at nine

 9時にそのグループが到着すること

ルールに当てはめて見ていくと, 

1. A of BのAの部分は動詞が名詞になったものである。arrival ← arrive

2. arriveは自動詞

3. 日本語訳は「九時にそのグループが到着すること」となる

上の名詞のカタマリを文章に直すと, 以下のようになる。

The group arrived at nine.

それぞれ, A of B のAに対してBが目的語の扱いになるから目的格のof, Bが主語の扱いになるから主格のofと呼ばれる。

メリット

英語は堅い文になれば名詞表現が増えてくるが, 日本語では名詞ばかりの日本語だと日本語として違和感を覚える文になりがちである。この技術を覚えておくことで、堅い文章でも平易な日本語に簡単に置き換えられる。

※ただし上に述べたように, A of BのAの部分が他動詞由来の名詞だったとしても, 主格のように訳される場合もある。

例) Scientific truth is a creation of the human mind.

 (科学的心理は人間の精神が創り出したものである)

より簡単な例で言うと

the love of God 「神を愛すること」「神に愛される(神が愛する)こと」文脈で共に可。

とにかく理屈では何となくわかったとしても, 演習をして自分で手を動かすことなしには定着しづらい。以下のページに飛び, 自分で手を動かして問題演習をしてみよう。