今日は京都大学2001年の大問2について解説していきます。
このページの以下を見る前に、必ず問題を解き、自分の解答と照らし合わせて見るようにしましょう。
また、ネットのページなどで問題を読み、手を動かさずに解答をなんとなく頭で作ることはやめましょう。
必ず試験本番と同様に、まずは過去問を買い、ノートに解き、そこからこのサイトを参考にしてもらえたら幸いです。
赤本などにもかなり網羅されているとは思いますが、実際にどのようなアプローチで考えるべきなのか、細かいところまで載せていますので、赤本などの解答の補完的なものとして、活用してもらえれば幸いです。
このページには主に下線部のところしか載せていませんが、下線部の外をしっかりと読むことはとても重要です(でなければ、カットされているはずですね)。
どのように英文を読んでいくか、などもどこかのタイミングで扱うことが出来れば、と思っています。
(1)In normal waking consciousness, the forebrain sorts through various kinds of internal and external sensory data to construct a meaningful view of the world. Faced with a flood of disconnected, random inputs generated by more primitive areas of the brain during sleep, the higher mental centers attempt to impose order on the incoming signals, creating whatever narrative structure dreams have.
解答例
通常、起きている時の意識下において、全脳は様々な種類の内的・外的な感覚器から得られるデータを調べ、意味のある世界像を構築する。寝ている間に脳のより原始的な領域によって生み出される、あまりに多くのつながりのない無作為な入力情報に直面して、より高度な精神領域は入ってくる信号に対して秩序づけようとし、夢が持つ、どのような物語の構造をも作り出すのだ。
In normal waking consciousness, the forebrain sorts through various kinds of internal and external sensory data to construct a meaningful view of the world.
【方針】
・to 不定詞の解釈については、二行目にもあるように、脳が入ってくるバラバラの情報に対して後付けで秩序づけると書かれている。よって、目的の意味で取ってしまうと「意図的に意味のある世界像を作り上げるために、データを調べる」となってしまい、2行目の意味と相反する。よって不定詞の結果用法として捉えると良い。
不定詞の結果用法
【細かいところ】
・forebrainは「前脳」と訳す。前頭葉はfrontal lobeという単語なので減点されるが、foreが「前」を表す接頭辞であることがわかった上で予測した単語ならば発想は悪くない。
例)forecast, foresee, foresight, forehead, 等
・sort throughは「調べる」の意味であるが、これは難しい。
sort through: to look for something among a lot similar things, especially when you are arranging these things into an order
LDOCEより
Faced with a flood of disconnected, random inputs generated by more primitive areas of the brain during sleep, the higher mental centers attempt to impose order on the incoming signals, creating whatever narrative structure dreams have.
【方針】
・前半の分詞構文 (Faced…)の意味は、文の流れから判断して if/when あたりで考える。
・後半の分詞構文 (…, creating…) は順序を表すandの省略として考えると良い。
➡️分詞構文の解釈について
【細かいところ】
・more primitiveのmoreの訳を忘れないこと。ここでの比較対象はforebrainであり、またthe higher mental centersもforebrainを指す内容となっている。theがあるのがヒント。このように一文を訳している時でも、文全体で何を言っているかを理解しようとする俯瞰的な姿勢を持つことが大事。
・a flood ofの使用例として、a flood of informationという表現がある。情報の洪水、という直訳でも意味は確かに通じるが、あくまでも洪水は比喩として使われているので、実際に使うことで日本語にまとまりが見られない解答も多く見られた。floodのマイナスのイメージを訳語に含みながら「洪水」というワードを使わずに訳すと、「あまりにも多くの〜」という感じか。
・attempt to doはtry to doを少し堅くした表現。
・orderの原義はO-LEXによると「然るべき状態にするためのもの」と書いてあり、つまりは「秩序」のことである。そこから「順番」やout of order「故障して」という意味合いが出てくる、と考えることも出来る。入ってくる信号に対して秩序を持たせる、つまりバラバラな状態からまとまりを持たせる、ということである。
・whatever以下の訳し方で「物語の、夢の持つどのような構造」などとしないこと。日本語をみて、どこに何がかかっているかが全くわからない。形容詞はどこに修飾しているのか、などをしっかり考えてから日本語に直すこと
(2)If this hypothesis is correct, then childhood experiences must have left deep imprints in the brain that are somehow activated in adult life during periods of high anxiety. Some sociobiologists have further speculated that the fear of falling ultimately derives from an inherited instinct or reflex handed down by our prehistoric ancestors, who could fall out of trees during their sleep.
解答例
もしこの仮説が正しければ、子供の頃の経験は、脳に深く刻み込まれたに違いなく、大人になってから不安な時にどういうわけか活性化される。寝ている間に木から落ちたかもしれない、我々の先史の祖先によって引き継がれている、遺伝した本能や反射から落下の恐怖は究極的には由来している、と一部の社会学者はさらに推測している。
If this hypothesis is correct, then childhood experiences must have left deep imprints in the brain that are somehow activated in adult life during periods of high anxiety.
【方針】
・助動詞 + 完了形の訳し方が間違っている人が非常に多かった。「〜したに違いない」とするのが正解であり、「〜するに違いない」などと、完了形のニュアンスが出ていない人が多く見られた。語句の知っている・知らないの話ではなく、文法の知識の問題なのでこれはミスしてはいけない。
【細かいところ】
・hypothesis → 仮説 実験が行われるような文章では、その実験が行われることでどのような結果が得られるか、という仮説が立てられるため、この単語は必ず覚えておきたい。
・in adult life during periods of high anxietyの部分は、lifeを訳出し「大人の生活/人生において」とする方がわかりにくい。「大人になって、大きな不安を感じる時に」などとしてやると良い。
ポイント
英語を読み、頭の中に状況をイメージし、そのイメージに合う日本語を使って日本語訳をする。その際、自分で勝手に付け加えた要素があると減点されてしまうので、訳した後に英語と照らし合わせて齟齬がないかを確認する。
・somehow は「どういうわけか」somewhatの「いくらか」と勘違いしないように。
・activatedは「活性化された」である。携帯を買った直後に使える状態にすることをアクティベートする、と言う。そのイメージを持つと訳が出てくる。
Some sociobiologists have further speculated that the fear of falling ultimately derives from an inherited instinct or reflex handed down by our prehistoric ancestors, who could fall out of trees during their sleep.
【方針】
・一部の社会生物学者は、と最初に訳さずにこの部分は最後に訳す。
・ultimately「究極的に」を訳した後、すぐに「寝ている間に落ちるかも…」としないこと。ultimatelyはderive fromにかかっているので、修飾している箇所を考えて日本語に訳すこと。
【細かいところ】
・the fear of fallingのofは同格を表す。A of B: BというA Aが抽象的な内容で、Bがその内容の具体例を表す時にこのような訳し方が出来る。同格のthatも同じで、ofとthatの違いは後ろにSVが取れるかどうか、である。
・derive fromはcome fromと考える。因果関係を表し、後ろに原因を表す。
・prehistoricは「先史時代の」 preは「前の」という接頭辞である。previewや、野球のオープン戦はpre-season matchesと言われる。一方postは「後の」という意味の接頭辞である。post-secondary education 「高等教育」などが例として挙げられる。
・hand down: 手渡される→受け継がれる