英文記事のススメ
1.現状の問題点について
英語が苦手な生徒に対してよく, 「まずは文法を復習するところから」「その次は単語を集中的に覚える」ということを伝えます。次の段階として, 「1日1題, 長文問題を解く」ように伝えるのですが, ここで問題点があります。
【初級者の問題点】
- 易しい長文問題ほど, 分量が短い
- 分量が短いのに関わらず、「1日1題」と言われているからそれしかやらない
- そもそも1日1題すらハードルが高く, 取り組めない生徒が多い
- 結果として英語が苦手なまま抜け出すことができない
一方, 英語長文の問題を1日1題こなせている中級者以上にも問題点があります。
【中級者以上の問題点】
- 大学受験レベルに落とされた語彙レベル・短く改変された文章に慣れすぎていて, 難しい文章に対応できない
- 共通テストに見られるような, 情報処理が求められる問題をすらすらと処理できない
- 模擬試験によく見られるような, 堅い, かつ長い文章への対応力がない
これらを解決するのが「ニュース記事を読む」ということです。
【ニュース記事を読むことで得られるメリット】
- 長い文章に対して物怖じすることがなくなる
- 問題集で不足しがちな, 英文に触れる量を確保できる
- 自分が興味のある話題・分野の文章を選んで読むことができる
- 単語帳で学んだ単語を目にする機会が増え, 覚えやすくなる(特に英検準1級レベル以上の単語ほど, 出てくる頻度がニュースだと格段に上がる)
- まとまった量の英文を読むことに慣れ, 読むスピードがあがる→共通テスト, 外部試験対策に◎
- 大学入試の原典にニュース記事が使われている場合も多いので, 入試対策にもなる
- 最近話題の時事ネタにも強くなる
などと, 少し考えるだけでも多くのメリットがあります。
2.英文記事の読み方, 進め方
英文記事を読むことで得られるメリットについては上を読んでわかってもらえたと思いますので, 以下どのように読んでいくと効果的なのかについて述べていきます。
【用意するもの】
- プリンタ
- 印刷用紙
- 紙に合ったサイズのファイル
- 穴あけパンチ
【手順】
- 読む英文記事を朝印刷し,今日の日付を書き, パンチで穴を開けてファイリングして,学校に持っていく
朝, もしくは前日の夜に印刷しておき, 必ず隙間時間に取り組むようにする。放課後じっくりと時間を取って取り組むべきは問題集。高校3年生で英文記事に対してしっかりと時間をかけられる余裕を持っている人はかなり少ないはず。印刷をしてプリントをファイリングをする理由は, 自分がどのくらい英文記事を読んだかということを視覚化するため。しばらく取り組んだ後に, これまで取り組んできたプリントの量を見るだけでも自己肯定感が上がる。特に勉強が苦手な人, 継続することが苦手な人ほど, 自分の努力を可視化することは大事。それによって勉強に対して取り組むモチベーションが上がる場合が多い。また, ただスマホやタブレットの画面上で記事を読んだとしても, わからなかった単語を書き込むことはできず, 後々時間を空けて復習することもできず, 手軽に読める反面記憶に残りにくい。
- 通学時間や休み時間を使って隙間時間に読み切り, 本文内容を8割理解した状態にする
英文記事はあくまでも長文問題集では足りない英文の量を補完するものなので, 隙間時間での学習を心がける。すると意外と無駄にしている時間が多いことに気づくはず。時間は限られているのだから, この無駄な時間をどう有効に活用していくかを考えることが, 受験突破において鍵となる。限られた時間を最大限に活用することができる習慣をここで身につけることを目標に。生涯使えるスキルとなる。また, Japan Todayのような本格的な記事は難しいため, 完璧に理解しようとするよりは8割程度理解できたらOKというくらいの気持ちでいてほしい。あくまでも英文記事を読む目的は「インプットの量を増やす」「まとまった量の英文を読むことに慣れる」「単語帳で学んだ単語を目にする機会を増やす」であり, 本文の正確な理解を主たる目的にしているわけではない。
- わからなかった単語をピックアップして, マーカーでチェックをしておき, 意味を書き込む
上に書いた通り, 「単語帳で学んだ単語を覚える機会とする」のが目的なので, 全ての単語を調べる必要はない。気楽な気持ちで取り組んでほしい。しかし一度見たことがあるにも関わらず忘れていた単語があるのならば, 必ずマーカーでチェックしておき, 意味を書き込んでおくこと。復習の際に, わからなかった単語を一目で見ることができるシステムを作っておくことが大事。ただ同じテーマのものを複数回読んでいると, 共通して出てくる単語が必ずあるはず。その際はせっかくの機会なので調べて覚えてしまおう。例)defendant: 被告人 は裁判・犯罪系のニュースには頻繁に出てくる単語である。 また、途中までの内容を覚えておくために日本語でメモなどをするのも良し。ただ目で追うだけでなく, 手を動かして読むことで頭が働きます。Passive ReaderからActive Readerへ。
- (オンライン英会話をしている人は)教材を題材にフリートークにチャレンジしてみる
一度インプットしたものをアウトプットする機会を設けることが大事。このようにして記憶は定着していく。「英語学習 インプット アウトプット」で調べると, Merrill Swainという学者が第二言語習得の研究においてアウトプットの重要性を仮説として1985年に発表したということが出てくると思います(かなり学術的な話になるので詳細は割愛します)。言語学習において, インプットするだけではなかなか身に付かず, アウトプットの機会が必要だということ。せっかくオンライン英会話をしているのであれば, 毎回フリートークではなく, このような教材を用いて, 新しく学んだ単語を実際に発音してみたりすることはとても大事。本文で学習した表現を先生が使って話しているのを聞いたキッカケで覚えることもあると思います。
- 毎日を目標に取り組み続ける、少し期間を開けて復習
英語学習はスポーツのようだとよく言われます。毎日コツコツ取り組む必要がありますので, 今日は時間があるから取り組む, などのように散発的な取り組みにならないようにすること。一度リズムがついてしまえば, 継続もしやすくなるはず。自腹でファイルを買うのがおすすめです, 無駄にしたくないと考えてしばらくは続けることができるはず(笑)理由はなんだっていいので, 自分がこれだと続けられるというシステムを構築してください。また、わざわざ印刷している理由は復習をしやすくするためです。期間を空けて本文を通読してみる、マーカーのついた部分のみ復習してみる、など色々試行錯誤してみてください。
3.実際に読むニュース記事を選ぶここまでくればあとは記事を選ぶだけです。Readingのトップページにおすすめのサイトをレベル別に載せましたので, 参考にしてください。